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記事一覧

戦争で日本の経済が破滅していた10年間

本日は3月31日、国家予算年度が終わり、多くの会社は決算の締めだ。東京大学出版会から1995年、戦後50年の節目に2冊の、第二次大戦期の日本経済政策に関する興味深い本が発刊された。「日本の戦時経済 -計画と市場ー」原 朗氏編他7名の経済学者による共著「日中戦争期における経済と政治 -近衛 文麿と池田 成彬ー」松浦 正孝著日本が国民政府と衝突した1937年7月が、実質的に日本国が第二次大戦に巻き込ま...

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マスコミが煽る戦争 山本 七平氏の「私の中の日本軍」

私が最も尊敬する文化人に山本 七平氏がいる。氏は1920年生まれで、学徒出陣し、ルソン島で戦う。そして様々な経験をして、ジャングルに隠れ終戦後、幸いにもアメリカ軍に降伏できて、復員した。この本は「諸君」に書いた原稿を文芸春秋から1975年に発刊された。テーマはご自分の体験を通じ「戦争伝説の仮面を剥ぎとり軍隊神話の源流を探索する」で、いかに銃後の国民は間違った情報を垂れ流され続けていたか、を述べてい...

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劇的とも言えた日本の4分の3世紀の軍事史 「日本海軍史」「日本陸軍史」

教育社歴史新書の「日本海軍史」外山三郎氏著と「日本陸軍史」生田淳氏著は各々1980年に発刊された。両書とも、客観的に事実とその背景を淡々と述べている。私はこのような内容こそが今、日本人の歴史認識に必至と強く感じている。過去60年間、日本では明治維新から1945年までの歴史認識をことさらに避けてきた。教える人間も少ない。日教組の罪は重い。「日本海軍史」は日本海軍の創設から1945年の壊滅までの事実を...

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武道としての「砲術」は実践的だったか。

日本武道全集は1960年代に、東京教育大学体育史研究室と日本古武道振興会共同編集による日本に伝わる様々な武道を歴史的、学問的にとらえたもので純然たる学術研究書だ。その第四巻が「砲術、水術、忍術」で、人物往来社刊、B5版482ページの厚紙表紙、紙ケース入りの堂々たる本だ。この巻は1966年に出た。白黒印刷、価格3000円だった。今村 嘉雄氏が編集していた。約半分の224ページ分が「砲術」である。図、古...

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幻の本、ケン・エルクスの「日本の弾薬」

この本はコピーでしか見たことが無い人が殆どだ。しかし非常に有名な本である。私もコピーしか持っていない。実物を探したが皆、コピーしか持って無い。画像はコピーの表紙。A4版、60ページくらいのもので、赤津きょう子さんが作成に協力したとある。内容は1880年から1945年までの各種の日本の弾薬だ。主に小銃、拳銃、機関銃弾薬だが、大戦末期の大口径航空機搭載機銃の弾薬は57mmまで掲載している。Ken Elks氏が何...

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洞 冨雄先生の「鉄砲」と南京大虐殺肯定論

私ごとき者でも、火縄銃から機関銃まで日本の武器兵器を長年、調査してきたことで、いろいろ分野の著名専門家とお話する機会を得たことがあったのは本当に光栄なことであった。これによりまた世の中も少し一般の人より別な角度からみることが出来るようになったと思う。洞 冨雄先生もその一人だ。先生は1906年、長野県生まれ、早稲田大学卒業後1977年まで同大学文学部教授であった。先生は火縄銃の研究活動より日本軍によ...

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幻の名著 銅金義一大佐の「銃器の科学」昭和18年

銅金大佐は日本陸軍で各種の兵器、特に小火器の開発に関わった人で、1943年、第二次大戦が開始されてから、一般書としてこの本を誰にでも分かり易い内容で発刊した。本はB5版、140ページ、厚紙表紙、写真、図面が多用され銃器の理論を特にこれから戦場に赴くであろう学徒対象に執筆してのではないか。出版社は神田神保町の山海堂だ。内容は、一章 小銃・機関銃の沿革概史 特に機関銃の歴史、日本の遅れのとらない開発を。...

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ふざけた「日本学生航空の50年」 バックは朝日新聞

財団法人日本学生航空連盟は1929年に朝日新聞が設立した。戦後、1952年頃から、各大学にグライダー部が発足し、再び、日本学生航空連盟が活動しはじめた。関東と関西の朝日新聞社航空部の一部に連盟部屋があり、各大学からの学連委員と、朝日の嘱託の指導員が詰めていた。この「日本学生航空の50年」は1980年に発刊された、学生航空の歴史をまとめたものだ。半分は広告でこれは朝日の広告部が集めたのだろう。全部付...

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資料王様 佐山二郎氏 「日本の小火器徹底研究」と「大砲入門」

佐山二郎氏は会社員生活をしながら、日本軍武器兵器の膨大な資料を収集、研究している方だ。筆者も様々な資料を見せていただき、またご教授いただいたり、資料を借用し自分の著作を助けていただいた。氏の文庫版、光人社NF文庫の「日本の小火器徹底研究、小銃、拳銃、機関銃入門」と「大砲入門」は白黒、双方450ページ近い大作だ。写真、図面、表などを駆使している。氏が筆者の「日本の軍用銃」を見ていただいて際、「もう少し...

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丸の「日本兵器総集」の完成度

潮書房の「丸」は戦記モノの草分けで雑誌であり、この特集ものがなかなか完成度が高い。執筆者が良いのだ。木俣 滋郎氏、寺田 近雄氏、竹内 昭氏などなど、まじめな研究者さんばかりだ。1942年から1945年までの全ての日本軍兵器の総集編だ。この特集は1977年発刊、B5版ながら360ページあり、小型だが全てのアイテムに写真が付いている。8ページはカラーで、航空機、戦闘車両の塗装が再現されている。内容は、1...

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プロフィール

Shigeo Sugawa

Author:Shigeo Sugawa
日本の武器兵器史の研究者、陸上自衛隊武器学校資料館アドバイザー。
目まぐるしく変化する国際情勢、その中で日本が対応する未来への策、安全保障を政治、経済、社会、報道などを多角的に分析する。
また趣味の狩猟、渓流釣りと自然、環境問題。そしてアート、音楽、歴史など文化面をも・・・その思うところを紹介したい。


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