柳井 乃武夫著「山の兵隊」
- 2018/07/26
- 08:32
この本ももう読み返すことはないと思っていた一冊だ。
柳井さんは東大2年の時学徒出陣し、その奇跡的生還までの丸2年間の
ことをまとめてものだ。後に徳間から「万死の一死」と言う本になった。
この本は私の叔父、レイテ島10万人のうち生還者2、000人の一人が
「俺の体験とほとんど同じだ」と言うことで私に送ってくれたものだ。
柳井さんは運輸省から国鉄そしてJTBの理事をした。
数年前に91歳で亡くなったそうだが、1996年頃、私が米国で
「日本の軍用銃」と言う本を出したときに、交通会館でお会いした。
彼が「日本軍歩兵の装具はどのくらいの重さか?」と聞いたので
銃を入れると35kgくらいではないかと答えた。
「そうかジャングルの中をスーツケース2個もって逃げ回って
いたわけか」と笑った。
彼は「もう忘れました」と言ったがおよそ2年間のことをほとんど毎日
頭の中で日記を付けていた。将兵の名前、出身、学校などを全て
記憶しており、復員後、軽井沢で一気にこの本を書いたそうだ。
父上が子爵であり、外務省条約局長をやり、麹町に住んでいた
と言うのに、一兵卒船舶工兵として戦地に送られ、軍の
暴虐とフリピィン人の憎悪のはざま、約50万人日本軍が野垂れ死に
したところに送り込まれた、その現実に恐怖を感じたことを記憶して
いる。主にレイテの南ポロ島でのゲリラの体験だ。
戦地から未だに100万体の遺骨が日本に戻ってきてない。
また日本にとって戦争は終わってないと考えるのが自然だ。
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