fc2ブログ

記事一覧

「空飛ぶ車」実現化の非現実性

日本の科学技術、製品開発力、生産能力の目玉的存在の、
国家的プロジェクト
として鳴り物入で幅広い分野の頭脳が結集されたと、報道されている。

車両とは陸上で運転者の操作により、人間、荷物を運搬する交通手段のひとつと定義されている。
運転者がAIに代わることを前提とした「自動運転車」も注目されているが
これも操作が別の何らかの形に進化したということで、陸上交通
機関であることに違いない。

「空飛ぶ」は明らかに航空機であり、この国家プロジェクトに国土交通省
も参画していており、2020年実用化という大前提を肯定し推進して
いる。

大きな矛盾を感じざるを得ない。
むしろ一種の誤魔化しだ。

「空飛ぶ」交通手段には制約が多い。
一つは航空機操縦免状が無くても、夜間証明、計器証明、無線資格
が無くても、運転免許証だけで空を飛べるのか。耐空証明という
機材の検査も厳しい。
最初から無人運航なのか?。
ドローンとどう違うのか?、などなど。

東京五輪の聖火に着火させる手段の一つなどと煽るのも良くない。

欧州の開発例を見ていると、ヘリコプターが、
地上の台に着陸、回転翼が畳めて、台に搭載され、それが機体の動力で
走る、と言うようなものがあった。離陸は逆の手順。
これが一番、現実性があるが、しかし
渋滞の列で突然、回転翼を伸ばし、飛び上がるなどは不可能だ。
台は誰が処理するのか。航空機は離陸、着陸には風に正対するが
原則だし。

だがオスプレーのような例もある。
アイデァが具現化した背景は軍用であったということで、
民用のものはまだ出ていない。

新しい技術を否定する意見ではないが、わずか2年後に「実用化」
するなどと言う出来もしないことを国家プロジェクトの大命題に
掲げることはできない。
「空飛ぶ車」などと言う概念が間違っている。
新しい、別な移動手段が生まれると言うことを目指さないと。
スポンサーサイト



コメント

No title

私が時代に追いつけていないのかもしれないが,「空飛ぶ車」という用語自体に言語の貧困さと幼稚さを感じます。

No title

> toudou455さん
この移動手段の名前は紛らわしい、自動車製造業界を巻き込みたい、産業省などの主導ではないでしょうか?

No title

> japaneseweaponsさん
なるほど,そうだったのですね。納得できました。分かりやすい解説ありがとうございます。

No title

良い例とは思えませんが、かっての原子力産業、特にプルトニューム再利用などは、官主導で行われた、日本独自のエネルギー政策ですが、失敗しました。
数兆円、三十年間がもんじゅの破棄に使われます。
それなりに福島第一と同じく技術は残りますが。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Shigeo Sugawa

Author:Shigeo Sugawa
日本の武器兵器史の研究者、陸上自衛隊武器学校資料館アドバイザー。
目まぐるしく変化する国際情勢、その中で日本が対応する未来への策、安全保障を政治、経済、社会、報道などを多角的に分析する。
また趣味の狩猟、渓流釣りと自然、環境問題。そしてアート、音楽、歴史など文化面をも・・・その思うところを紹介したい。


現在の閲覧者数:
カウンター :

月別アーカイブ