Ordnance Went up Front by Roy F. Dunlap (軍需部前線に行く)
- 2005/06/30
- 17:31
著者、ロイ F ダンラップは銃工で、アメリカ陸軍の軍需部下士官としてドイツ軍、イタリア軍との戦闘そして太平洋における戦闘に参加した。彼の任務はアメリカ軍の兵器の整備や修理であった。
しかし彼は敵方、ドイツ、イタリア、日本各軍の兵器にも職務柄当然興味を持ち、フィリピンで鹵獲した日本軍の各種兵器を観察、操作、試験を行った。
最後には日本本土にも上陸し、日本の終戦直後の異様な様子にも多くに記述を残した。
この本も、欧米の日本軍と日本軍兵器研究者にとってはバイブル的存在になっている。
日本の兵器、武器の研究家は必ず読むべきものであろう。
記述は客観的かつ正確である。特に技術の面で彼の観察や記述は優れている。後に、銃工として、パーカライジング(金属への錆付け)法の本も執筆していた。
写真の日本軍歩兵装具一式(「日本の軍用銃と装具」より)ようなものに始まり、かなり大型な兵器も
網羅している。
また、日本本土進駐直後に、市ヶ谷の陸軍大学校などにも真っ先に駆けつけて試作兵器など珍しいものも
漁った。
特に興味深いかったのは、陸軍九七式対戦車砲20mmの実射だ。
彼は海面に標的を浮かべ海岸から実射した。その記述は研究者にはとても役にたった内容であった。
九七式対戦車砲は数人の兵が頻繁に位置を移動しながら、敵方の車両を攻撃する兵器で、遠くから
発射でき、命中精度が良かった。(ノモンハンで使われた。)
終戦直後の東京を歩き、一般市民、中学生までが兵士のような格好(戦闘服に戦闘帽)をしているのに
驚愕した。