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作戦と同じ中途半端な大作 「バトル・オブ・バルジ」 戦争映画100選 その96



バルジ作戦(アルデンヌ攻撃)は1944年12月、ドイツが連合軍に対して行った最後の大規模な
反撃であり、連合軍は33000人の死傷者を出し、手痛い打撃を受けた。
一方、ドイツもこの作戦で温存していた力を使い切り、半年後の降伏を迎えた。

1960年代は戦争映画の10年間だった。
[Battle of Bulge]は1965年、カラー167分の大作だ。監督は[The Longest Day]の英国部分を手がけたKen Amanakinで、彼は石原裕次郎が出演した「素晴らしき飛行機野郎」と言う映画も監督していた。

「バルジ」は突起している、と言う意味で、1944年秋、「遠い過ぎた橋」で映画化されたアーヘン攻略に参加した連合軍が守っていた、ドイツとベルギー、フランス国境をドイツ側から電撃的に攻撃し
アントワープまで侵攻、連合軍を二つに割るという作戦だった。
一方連合軍側はこの地域ではドイツ軍の反撃はなし、と12万人の兵力を長い線で守備させていた。

この映画は大作である。
主人公はアメリカの情報将校ダニエル・キリー中佐(Henry Fond)とドイツのパンツアー師団司令官
マーチン・へスラー大佐(Robert Shaw)である。この2人の行動を中心に物語は進行していく。
その他に、グレイ将軍(Robert Ryan),またCharles Bronson,Terry Savalasなど有名なアクションスターがずらり出演していた。

事実、ドイツ軍がこの時期に反撃に出たのは優れた作戦であった。
クリスマス前で連合軍の士気が緩んでいたこと、また北欧から低気圧が接近し、前線と霧のため制空権を持つ連合軍の航空兵力が使えなかったからだ。当時はADFくらいしかなく計機飛行できるすべがなかったからだ。

戦車その他車両の出方は凄いものがあった。費用もかかっていた。しかし肝心の欧州の冬の感じがまったくないシーンがとても多かったことだ。ドイツのパンツアー、アメリカのシャーマン、いずれも似た戦車が数多く走らせていたが、その背景はアメリカの訓練所だ。一部のシーンでは海が見えているところもあった。
筆者は冬、欧州を旅行し、この地域を機上から眺めたことがあったが、雪原に黒い森だけが弱い光のなかに浮き出ており、アメリカ西海岸とは正反対の景色だったことを記憶している。

へスラー大佐(ロバート・ショー)は良い。ドイツ軍が似合う役者だった。
ドイツ軍の地下司令部なども良く出来ていた。
しかし、この映画が良いストリーと良い監督に恵まれたにも関わらず失敗した最大の原因は、戦争を
100%シリアスに捉えてなかったことだ。
アクションスターの起用と、キリー中佐(情報将校、佐官が戦車兵を腰だめで撃ち、飛び乗って手榴弾で破壊する)など現実性に乏しいシーンが挿入されていたからだ。
その点、へスラーの当番兵コンラッド曹長は良かった、戦争を彼なりに捉えたキャラクターだったからだ。

従って、せっかくの題材、予算、人材にハリウッド的妥協がこの作品を損なってしまった。
同じ現象は、「プライベートライアン」にあり、「シンレッドライン」にはなかった。戦争はアクションではない。現実だ。

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日本の武器兵器研究、火縄銃から軍用銃までと多岐にわたり、 また急激に変化がある国際状況、日本の安全保障と外交を 論じる。



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