FC2ブログ

記事一覧

黒澤 明 戦を「美」にした巨匠 「乱」 戦争映画100選 その106



黒澤 明監督は「蜘蛛の巣城」「影武者」そして「乱」と合戦3部作がある。
前2作が娯楽作品であるのに対し「乱」には娯楽色は薄い。むしろ欧米的芸術的な日本映画である。
原作がシエクスピエアのリア王にあり、それに毛利家の兄弟の話を加味した物語だからだ。1985年、カラー作品。

一文字秀虎(仲代達矢)、長男太郎孝虎(寺尾 聡)、次男正虎(根津 甚八)、三男三郎直虎(隆 大介)とそうそうたるキャストだ。
物語の詳細は省略するが、一文字家は隣国の謀略で兄弟間の争いで滅びる。
秀虎は相当あくどい戦国武将であった。息子達は自主性を失っていた。そのなかで追放された三郎のみが
本当の父親思いで自分の意見があったが、最後は狙撃されて死んだ。

「言葉だけでは戦には勝てぬ」「神や仏をのろうな、人間のおろかさが、安らぎより苦しみを求めるのだ」「なぜ乱れるのだ、すべては人の心だ」など、戦争に共通な言葉が出てくる。

黒澤はこの作品に能や衣装、そして、色に凝り、日本的ながら欧米人もそのダイナミックさと繊細さに
感激するように演出した。
だが、山や空を背景にした隊列は尾根の上の軍勢は、彼が好きだったジョン・フォードの映像の影響を受けていたことは否めない。

合戦を「美」にするために、旗指物、鎧、騎馬武者、足軽、を色の対象で描いた。背景の緑や砂の色、
山の色、に赤、青、白、などシンプルな区別で3つの軍勢を表す。音楽はあまり使わず、効果音を引き立たす。(黒澤作品すべてにわたり効果音はいまひとつだ。彼がデジタル時代に制作していたら違った水準になっていただろう。「七人の侍」など台詞が分からない部分もある。)

特に鉄砲、鉄砲は合戦の重要な兵器にもかかわらず、その扱いはかなり手を抜いていた。電気仕掛けの
玩具の機関銃の音だった。ひとシーンでも鉄砲を発射するアップがあれば迫力は違っていただろう。
果たして黒澤 明は当時の「武器兵器」を理解していたかは疑問だ。「影武者」では鎧を着たまま地面に寝ていた侍の列から始ったが、鎧を着用したまま休息をとることは不可能だ。

黒澤 明は世界の巨匠だ。しかし彼にも弱みはあった。

また、この映画の戦国時代の衣装はNHK大河ドラマに悪影響を与えた。大河ドラマの衣装は今や夜の銀座でも見られない派手な色で、その時代どうやって着色したんだ、ランドリーしたんだ、と言う感じだ。

画像は同映画のビデオパッケージより

スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

japaneseweapons

Author:japaneseweapons
日本の武器兵器研究、火縄銃から軍用銃までと多岐にわたり、 また急激に変化がある国際状況、日本の安全保障と外交を 論じる。



刀,弓,槍,薙刀,甲冑,鎧,火縄銃,軍用銃,機関銃など日本の武器や兵器に関する須川薫雄の研究を紹介はここ:
日本の武器兵器.JP


スポーツアンティークは、スポーツ用品や玩具、江戸期からの日本の食器、家具また、合法的な武具・火縄銃や軍装備品もマニアの方々に用意しております。米・日で約40年間に渡り仕入れたものです。



現在の閲覧者数:
カウンター :

月別アーカイブ