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日本刀を持ってきたアメリカ人

ここコネチカット州は秋も深まり、良い天気だ。
昨日、外で屋根職人と話をしていたら、前に小型トラックが止まった。オジサン風の男が降りて来た。
この町の人間らしい。
私が日本の武具研究をしていると知ってのようで、自分の家で日本刀を見つけたが観て欲しいと言うことらしかった。

トラックから持ち出したのは、一振の脇差だった。
刀身はなかごをみるまでもなく、古刀で、拵えも上手のものだ。私は刀の鑑定はできないが、多分「大和」のものではないかと推察した。
帽子もしっかり見えるが錆があちこちに出ているのと、指紋の染みもある。状態は良くない。
鞘は木を捻った意匠で、凝った透かし鍔、縁頭、目抜きは一作(揃い)で馬具の意匠。なかなか上品なものだ。幸いなことに変な油を付けたり、磨いたりはしてない。90%刀紋は見えた。

「幾らくらいの価値があるものか?」と言う質問。
こういうときに必ず出る質問だが、答えようがない。「う~ん、もし君がアメリカのコレクターに売るなら300ドル以上と言うことはないね。」ちょっとがっかりしていた。

20世紀初頭に、アメリカのこのあたりでは、一種の日本ブームがあり、武具、刀、鎧、骨董などが多量に
流れ込んだと言う話を聞いたことがある。この脇差もそのひとつだろう。今でもコレクターが沢山いて
大小の揃いを数十セット持っているひともいるらしい。
日本で手入れせずに刀を一世紀おいたままなら、赤味になっているが、空気が乾燥しているから、この程度で済んでいた。

私は彼には「刀は侍の精神で象徴だ。侍は今はもういないが、どんな人の心にその精神はある。侍は名誉に生き、名誉に死ぬのが本分であり、もしそういう生き方に共鳴できるなら、その刀を自分のものとしてもっていたらどうか。君も侍になれる。手入れ具を今度持って来てやる。」と言っておいた。理解したかどうか。

この脇差をそこいらの骨董屋に持ち込めば100ドルが良いところだ。
私が買っても、一振りだけを空港での申告、手続き、預かり、そして受け渡し、登録、成田まで行き、何日も掛かる作業でとても割に合わない。業者さんが、まとめて50振くらいをそれこそ1振原価100ドルくらいで買って、付け届けが効いてい馴れあいの、税関審査、登録審査をアルバイトでも使い作業すればわりがあうだろうが。世の中そんなものだ。

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プロフィール

Shigeo Sugawa

Author:Shigeo Sugawa
日本の武器兵器史の研究者、陸上自衛隊武器学校資料館アドバイザー。
目まぐるしく変化する国際情勢、その中で日本が対応する未来への策、安全保障を政治、経済、社会、報道などを多角的に分析する。
また趣味の狩猟、渓流釣りと自然、環境問題。そしてアート、音楽、歴史など文化面をも・・・その思うところを紹介したい。


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