週に一度は寄る「ハンクス」
- 2007/04/28
- 01:02
ハンクはジョン・ウエインのような容貌の人だ。恐らく性格も、「リバティバランスを撃った男」の
ようなのだろう。
この汚い骨董屋をやっている。ここの広場には数件のガラクタも含め骨董を扱う店がある。
「ハンクス」はその大手で、右に2軒あり、レスビアンのカップルが見ている。左にも1軒ある。
ここで、8年前にディナーテーブルと椅子のセットを買ったときの話だ。
息子とニューイングランドの家で使う家具を探していた。
僕等は入るなり、そのセットが目に入り、一目で気に入った。主人、ハンクは事務デスクみたいなところに座りペーパーバックスを読んでいた。
「これは素晴らしい。絶対に欲しい。」と僕はいつもは欲しいものは逆な手を使うが、この時は、正直法で行った。息子も椅子に腰掛けたりした。
ハンクは本を置き、眼鏡をはずし、始めて僕等がいたころに気が付いたような振りをして、「○○!」と言った。格安値段だ。
「アイ・テイク・イッツ」と言った途端、30代前半ニューヨークのキャリアウーマン風の女性が飛び込んできて、「やはり、このテーブルを貰う。」と言った。
ハンクはまた本を手にして、「駄目だ。この人たちが今買った。」とそっけなく言った。
「え!どうして。」みたいな会話がその女性とハンクの間にあった。
僕は現金を出して、ハンクにこれは手付け、今から二人で車に積むと言った。
女性は僕等に「私が」、と言いかけたがそこはニューヨーカー、うらめしそうに何も言わず、ほかのものを見ていた振りをしてた。状況が何らかのことで変われば良いと言う感じはみえみえだったが。
本来なら、その女性はこの商品を抑えていたという解釈だろうが、ハンクはよほど何か腹に据えかねたものがあったのだろう。
うちの家族は皆、ハンクを知っている。それからもいろいろなものを買った。
母親が弟の家に来ていたとき連れて行った。彼女が「ジョン・ウエイン」と会うなり言ったら、とても嬉しそうな顔をした。
外においてあるバスタブはニューヨーカーの好みのものだ。わざわざ、この古いバスタブに金を掛けて
替える。どういうこだわりなのか。
テーブルと椅子は今でも使っている。とてもその値段では買えなかったものだった。